中野江古田病院も永寿総合病院と共に高齢者の入院が多かったという(共同通信社)

「ぼくが電車の座席に座っていると、ゼーゼーという息切れとともに50代くらいのスーツ姿の男性が隣に座ったんです。顔は真っ赤で汗だくになっていて、横にいて感じるほど体の発熱がありました。

 発車してから5分ほどしても呼吸が乱れたままだったので“この人まずいんじゃないか”と思いましたが、車内が満員で移動することができず、その男性に10分ほど寄りかかられていました。

 会社に着いてからすぐに男性と触れた部分をアルコール消毒して、何度もうがいしましたが、結局感染してしまった。ぼくはかなり気をつけていたし、社内の誰も感染していないので、あの男性が怪しいとしか思えません」

 国の外出自粛要請があっても多くの人が仕事を休めないのが日本の現実だ。

 芸能界でもモデルの逢沢しずか(年齢非公表)が発症後、体の異変を感じても撮影会やミーティングなどの仕事を休むことができなかったとツイッターで報告し、《後の祭ですが猛省》と綴った。

 最も懸念される危険地帯は病院だ。都内にある永寿総合病院では4月11日までに入院患者94人、職員69人が感染し、入院患者計20人が死亡した。中野江古田病院でも患者ら92人の感染が確認された。

 研修医40人が懇親会に参加した慶応病院でも集団感染が起きるなど、多くの病院で院内感染が拡大している。

 病院では意外な感染経路も明らかになった。

「集団感染が発生した大分県の国立病院機構大分医療センターでは、職員らが共用するタブレット端末を介して感染が広がったといわれています。院内の手すりやドアノブは消毒していましたが、まさかタブレットから広がるとは予測できませんでした」(前出・医療ジャーナリスト)

 院内感染が起きると、持病を抱えているハイリスクな患者への影響が懸念されるとともに、医師や看護師といった医療従事者への感染が進み、医療崩壊を生じる恐れがある。

「院内感染は絶対に避けなければならない感染拡大の1つです。高齢者などリスクのある人はなるべく病院には行かず、オンライン診療などを試してほしい」(前出・医療ジャーナリスト)

 ようやく見えてきた危険地帯を避けることが、安全地帯に入るための第一歩となる。

※女性セブン2020年4月30日号

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