とはいえ、人気のディープ産駒2頭からでは、よほど軍資金が豊富でなければ、休業補償にもならない。しかも皐月賞に限っては、人気になった時に勝ち切れていないのだ。これまで31頭が出走し、3番人気以内に推されたのは11回あるが〈0 3 2 6 〉で、半数以上が馬券圏外。
一方、勝ったディーマジェスティは8番人気、2017年のアルアインは9番人気だ。2例だけなので、人気薄でこそ狙い、と言えるほどではないが、人気薄でも侮れないとは言える。初年度産駒で3着にはいったダノンバラードも8番人気だった。
レースを引っ張るのは重馬場での勝ち鞍もある“サンナンボー”のラインベックあたりか。大舞台で偉大な両親の血が騒ぎだすかもしれないが、無理なく前につけられそうなのが、好枠を引いたレクセランスだ。すみれSは小頭数のことも多く、皐月賞と縁がないのが気になるが、フサイチコンコルドはここからダービー馬になった。
川田騎手が競馬を教えての3連勝だが、今年は土日の移動ができないため、北村友騎手へ乗り替わった。愛馬を手放した形の川田からモタレ癖の矯正法などきっちり聞き出したことだろう。高松宮記念と大阪杯での悔しさを晴らすことを期待したい。皐月賞の余韻が残る最終レースには、フランケル産駒で5戦3勝の姉エクセランフィーユがスタンバイしている。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。