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苦境の飲食店 支援の輪はデジタルで広がりつつある

 まったく新しい支援の形も生まれている。テイクアウト、デリバリー、通販などに取り組む飲食店が増えるなか、“Zoom飲み”と言われるオンライン飲み会が一大ブームとなり始めている。本来はオンライン会議ツールとして使われる「Zoom」というツールを使って、画面越しにでも顔を突き合わせ、会話をしつつ、それぞれ家庭で酒を酌み交わすことを指す。

 オンライン会議アプリは他にもあるが、飲み会ツールとしてZoomが人気を集めている理由のひとつが「背景を変えられる」という機能だ。映像に写っている自分の顔や体だけを切り抜いて、背景を好きな画像に変えられるのだ。部屋が散らかっていたり、プライベートを他人に知られたくないという人でも、塗りつぶしたような背景や南国にいるような背景を使うことができる。

 そしてこの機能を利用して、また新たなサービスがスタートしている。「オンライン・パーティ・マーケット」。飲食店の内観などが写った画像を購入するフォトストックサービスで、その売上から飲食店に支援金が振り込まれる仕組みだという。購入者は、自分の行きつけの店で飲んでいるかのような雰囲気を演出できるし、数百円とはいえ飲食店へのサポートにもなるのであれば、利用者にとってもうれしいサービスだ。

 未曾有の苦境に立たされている事業者は、いま無数にいる。だが足繁く通う常連のような優良顧客や周辺サービスなどの”仲間”から得られるサポートもある。本来期待したい上からの支援策に期待ができないのならば、横や下から支援を構築していく。

 非常時にはコミュニティにおける、互助や相互扶助が生きる力になる。地域コミュニティだけではなく、趣味や嗜好、生き方の数だけコミュニティはある。情報収拾ばかりがネットの役割ではない。デジタルネットワークの中にも頼れる隣人は間違いなく存在するのだ。

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