すでにサテライトオフィスを地方に構えるIT企業も(時事通信フォト)

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◆テレワーク普及で「脱東京」なるか

「STAY HOME」状況が変わらない限り、企業も個人も身動きが取れない。コロナがいつ収束するかにもよるが、感染拡大が収まり、日本社会が平穏を取り戻す日が訪れれば、事態は大きく変わる可能性がある。そのカギを握るのがテレワークの急速な普及だ。

 緊急事態宣言(7都府県)後のテレワークの実態について全国2万5000人規模の調査結果を発表したパーソル総合研究所によると、正社員のテレワーク実施率は全国平均で27.9%、1か月前に比べ倍増した。実施率は、7都府県に限ると38.8%、東京都にいたっては49.1%の高率だった。

 コロナは企業活動、ビジネスマンの働き方を確実に変化させている。今はまだ試行錯誤の状況。テレワークが増えたからといっても、職種による実施状況は大きく異なるし、ハンコ文化が変わらない限り出社の必要性も出てくる。とはいえ、試行錯誤を経てテレワークが一段と普及していけば、企業とビジネスマンを取り巻く環境は大きく変貌するのではないか。

「場所を問わず仕事ができることが当たり前となっていけば、コロナ収束後に本社移転を本気で考える企業が増えてくる可能性はあります」(瓦田氏)

 任天堂、オムロン、島津製作所といった「京都企業」、山梨県の富士山の麓・忍野村に本社を置くファナック、福岡県北九州市を拠点とするゼンリンなど、そもそも東京に本社を置かない優良企業や有名企業は数多くある。通信環境や交通網がこれだけ発達していることを考えれば、高コスト・高リスクの東京に本社を置く必要はないと「脱東京」を図る企業が増えてもおかしくない。

 本社機能の移転だけではない。会社に行かなくても仕事ができるという状況が一般化すれば、自分自身や家族のライフタイルを見つめ直し、東京から離れて、地方に移り住む人々が増える可能性もある。

 史上最強のウィルスとの闘い、巣ごもり生活を通して人々は熟慮を重ねていく。その一つの帰結として、コロナショックの体験が東京一極集中の是正に向けた一大転機をもたらすかもしれない。

 前向きにとらえれば、「成長」から「成熟」への転換期を迎えようとしているのではないか。

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