ビジネス

コロナ後に「脱東京」の本社移転を考える企業が増える可能性

マスク姿で帰途につく東京・大手町のサラリーマン(時事通信フォト)

マスク姿で帰路につく東京・大手町のサラリーマン(時事通信フォト)

 コロナ感染拡大に収束が見えないままゴールデンウィークに突入した。「STAY HOME」はやむを得ないが、GW中の巣ごもり生活は“ポストコロナ時代”の働き方を考えるうえでも貴重な時間。いつか来る収束後の社会はどう変わるのだろうか──。ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。

 * * *
 コロナ感染拡大状況下でビジネスマンの仕事環境が様変わりしている。在宅勤務(テレワーク)が一気に普及し、打ち合わせや会議もズームなどのアプリを使ったリモートスタイルが日常化しつつある。メディアの現場も一緒で、記者会見もズームなどで行っている。

 その結果、混雑率が180%を超えていた都内の通勤電車は信じられないほど人が減り、回数が減った通勤も座ることが可能になったという声も聞く。「ポストコロナ時代」に向けた変化の予兆が随所に出始めているのだ。

 今回のコロナ禍で改めてクローズアップされたのが東京一極集中リスクの怖さだ。全国の感染者数をみても東京が圧倒的に多い。当然だろう。人口1395万人(昼間人口は1592万人)という世界有数の超過密都市・東京は、あまりある魅力を備える一方で、過密さゆえのリスクは他の都市とは比べ物にならないほど大きい。

 しかもリスクは感染症被害だけではない。首都直下地震、富士山大噴火、大型台風、ゲリラ豪雨などいつ見舞われるかしれない自然災害による被害も計り知れない。そんなリスクの巣窟に政治・経済の中枢機能が一極集中している現状に危機感は高まる一方だ。

 東京を拠点に事業を継続すること、東京に暮らすことにどれだけの価値があるのか。多大なリスクを上回る魅力とメリットがまだあるのだろうか。ポストコロナ時代に起こり得る現象の一つは「脱・東京」の動きである。まずは、企業の本社移転が進むのかどうかを検証してみよう。

 企業の本社移転に関しては、参考になる調査結果がある。帝国データバンクの「1都3県・本社移転企業調査」(2018年)だ。1都3県は東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県のいわゆる「東京圏」である。

 2018年に本社が1都3県から転出した企業は285社で、2年連続で前年を上回った。一方、1都3県への転入は308社で、8年連続の転入超過となった。転出先の上位は(1)茨城県/39社(2)大阪府/38社(3)愛知県/22社(4)静岡県/18社(5)栃木県/16社の順。

「新幹線や高速道路など交通の便が良く、大都市や首都圏とのアクセスが良好な府県への移転が多数を占めました。あとは福岡県(2018年は10位、2017年は4位)のように、企業誘致に向けた自治体の取り組みが積極的な地域への移転もここ数年多く見られます」(帝国データバンク東京支社情報部の瓦田真人氏)

 東京圏への転入が多い状況は変わっていないが、政府の「地方拠点強化税制」を軸とした移転支援政策もあり、地方への移転の動きもそれなりに増えてきている。2017年は279社で前年比28.6%増、2018年は285社で同2.2%増。これが最近までの状況だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
3年間に合計約818万円のガソリン代を支出していた平口洋・法務大臣(写真/共同通信社)
高市内閣の法務大臣・平口洋氏が政治資金から3年間で“地球34周分のガソリン代”支出、平口事務所は「適正に処理しています」
週刊ポスト
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン