業績不振もEC比率は高まっているオンワード(時事通信フォト)

業績不振も自社のEC比率は高まっているオンワード(時事通信フォト)

 世界でも日本でも実店舗が休業しているなら、売り場と買い場は「ネット通販」しかありません。事実、3月からネット通販が高い伸び率を見せている企業もあります。

 例えば、オンワードはグループ全体のEC売上高(2019年度)が333億円(前年比31%増)あり、自社EC比率は85%にまで上昇しています。3月の月次売上では、オンワード樫山のトータルの売上が31%減少していますが、ECの売上高は45%増と大幅に伸びています。全売上高に占めるEC化率は過去最高の30%台に達したとされています。

 またネット通販が強いアダストリアやユナイテッドアローズも3月度のEC売上高は伸びています。ユナイテッドアローズは自社オンラインストアとゾゾタウン(ZOZOTOWN)での売上は23.8%増と大幅に伸び、アダストリアも自社サイトと他社サイトはそれぞれ10%増ずつ伸びていると発表されています。

 アパレル業界では以前からネット通販に注目が集まっていましたが、今回の新型コロナをきっかけとして、ネット通販をさらに強化しなければ生き残れない状況になっています。全国的に実店舗がほぼ休業状態になるなど、これまで想定されていませんでしたし、世界的に活動が休止することも同様で想定外の事態です。このため、現在まともに稼働できる売り場はネット通販だけなのです。

 これまでネット通販を強化していたオンワードやアダストリア、ユナイテッドアローズは完全に実店舗の落ち込みを補填できないものの、幾分緩和することができています。その一方、ネット通販売上高が10数億円しかなく実店舗での売上高に過度に依存していたレナウンなどはさらに厳しい状況に追い込まれることになるでしょう。

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