一方、アパレル各社の業績は、すでにコロナショックが始まる前の昨年の秋冬から落ち込んでいました。
2020年2月期決算を発表しているオンワードホールディングスや三陽商会、TSIホールディングスなどはいずれも大幅な減益となっていますが、これらの業績が悪い理由は、新型コロナの影響というよりは、昨年秋から今年2月末まで異例の暖冬だったため、厚手の防寒アウター類が動かなかったためです。
アパレルは全般的にはTシャツやポロシャツ、ブラウスなどが主力となる春夏は商品単価が低く、ダウンジャケットやコート類が主力となる秋冬は商品単価が高くなります。このため、暖冬で防寒アウター類(ダウンジャケット、コート類)の動きが鈍いと、たちどころに業績が崩れるという特性があります。
これは業界の絶対王者ユニクロとて同様です。ユニクロを展開するファーストリテイリングは、2020年8月期の業績予想を下方修正しています。また2020年8月期第2四半期の国内事業は、売上収益が4635億円(前年同期比5.7%減)、営業利益は716 億円(同5.7%増)と減収増益となりましたが、これも主な原因は暖冬による不調です。ダウンジャケットもさることながら、ウールのセーター類は大苦戦だったと業界では指摘されています。
そんな各社の不調に今回の新型コロナが追い打ちをかけています。しかも、コロナショックは日本全国が休業状態に追い込まれているだけでなく、世界各国もほぼ同様の状態にあるため、これまでの自然災害や大規模アクシデントとは異なります。
特にユニクロは世界規模で売り場を広げているため、そのダメージが国内向け専門のアパレル各社よりも大きくなると考えられます。ですから決算見通しの2度目の下方修正を行ったのでしょう。