米を炊いて食べることすらままならない家庭は少なくない

 厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」では、大人が1人の「子供がいる現役世帯」の相対的貧困率は50.8%に達した。

 なかでも母子家庭の平均収入は243万円で、父子家庭の420万円より大幅に低く、半数近くが非正規雇用だ。

 母子家庭を支援するNPO「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」相談員の小森雅子さんは「母子家庭は助けを求めにくい」と指摘する。

「助けてくれる人もいるが弱みにつけ込む人もいる。本人が家庭環境を他人に知られまいとして支援を求めないケースもある。苦しいのに母子家庭を隠し、米びつが底をつくまで耐える人もいます」

 実際にいま、小森さんのもとには母親たちからの相談が数多く寄せられている。

「『まったくお金がありません』『ご飯を1日2食にしています』といった切実な訴えが届いています」(小森さん)

 こうした声に応え、しんぐるまざあず・ふぉーらむは一斉休校直後から、生活に困っている全国のひとり親家庭およそ1100世帯に米5kgを配送した。

《子供たちも親の負担を感じていたようなので、お米を見て顔が明るくなりました》
《かさましのための雑炊ではなくて普通に炊いたご飯が食べられます》

 これらは、米を受け取った家庭からの小森さんへのメッセージだ。米を炊いて食べる──平常時ならばなんの変哲もない日常生活すら、ままならないほど追い詰められた母と子がいかに多いことか。一方で、ほかにも貧困が見えづらくなっている子供たちがいる。高校生や大学生だ。

「義務教育を終えた高校生や大学生は、実はとても動向を把握しづらく、家庭が裕福でなくアルバイトで学業を維持している場合、コロナで収入が断たれている恐れがあります。また学校がオンライン授業となった場合、貧困家庭はネット環境を整えられない。普段ならば大学内のパソコン教室を使用することもできるが、いまは閉鎖されているうえにリモートワークの増加でパソコンが値上がりしている。せっかく入学できても教育を受ける権利を奪われてしまいます」(鳫さん)

※女性セブン2020年5月21・28日号

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