海馬を鍛える効果的な脳トレの中身はというと、以下のシンプルな3ステップ。

【1】街を歩く。特定の場所を目指すのでも、自由に歩いて適当なところをゴールにしてもいいので、スタート地点からゴールに着いたら、必ず来た道を通ってスタート地点に戻る。曲がり角では自分なりのアンカー(目印)を覚えておく。

【2】なるべく記憶が新しいうちに、歩いた行程を思い出して紙に描き起こす。

【3】描いたマップを持ってもう一度同じ道を歩き、必要・不要な情報を修正し、地図の精度を上げていく。

「大事なのは、アンカーは人に言われたものではなく、自分で見つけたものにすること。さらに言うと、自分の興味のある分野にしてください。なぜなら、それが記憶力を劇的に向上させる秘訣だからです。自分の好みと結びつけてアンカーを置いていきましょう。楽しみながら、気軽にやることが大切です」

 北村さんによれば、この記憶術は年齢が高くなるほど“有利”なのだという。

「長く生きているほど経験や思い出が多いので、アンカーを打ちやすいというメリットがあります。脳を活性化すれば、全体的な記憶力も上がりますから、高齢者のかたほどぜひ試していただきたいですね」

◆記者に訪れた脳が熱くなる感覚

 実はかくいう記者も、ミドル40となったいまでも、方向音痴の自覚は大アリ。最近は雑多な陳列棚でおなじみの大型スーパーの2階で迷子になったし、昔通った学校へたどり着ける自信はこれっぽっちもない。

「仕事をしている人に多いのですが、気が張っているときだけ大丈夫な人もいます。休日など完全なオフモードを思い返してテストをしてみると違った結果になるかもしれません」

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