4月の週末、方向感覚のある友人に協力してもらい、スマホを封印して、地元の人に人気というカフェへと向かう。緊急事態宣言の後なので臨時休業の店も多かったが、駅から5分ほどの目当ての店をめざして、営業中の店の雰囲気を中心に記憶して歩く。目当ての店は閉店だったので一度駅に戻り、道のりを描いてみた(「Before」の画像)。ロータリーを出て右に進んで左に曲がるという実に単純なもの。
その後、もう一度歩いて答え合わせをしてみると…最初に感じていた距離感と全く違ったことに驚く(「After」の画像)。そしてアンカーを打った曲がり角の“中華店”はガラス越しに見えた店内の招き猫に目がいっており、シャッターが閉まっていたら見えない可能性があった。そしてもう1つのアンカーは“工事中”であったため、2度目に歩いた際は工事が終わって景色がガラッと違っていた。そのほかも車や店先に並ぶ季節限定商品など“常にあるわけではない”ものほど目印にしていた。
答え合わせをした直後の感想は、自分が物を見るときの“癖”がわかって面白いというだけだったが、その後、思った以上の効能をじわじわ実感したのが驚きだった。店の並びまで頭に叩き込んだことで、その場所に地元と同じくらいの安心感を得られたのだ。これで、迷わないどころか、人に案内する自信すら湧いてきた。
調子に乗った記者は、その帰り道に、スマホの地図アプリを封印して、違う道でもう一度トライしてみた。
すると、坂の高低や道幅の大きさ、見落としていた店や駅、生垣から香る花のにおいなどが驚くほど鮮明に記憶されただけでなく、最初に歩いて描いた自分のマップと本物の地図との誤差がかなり少なかった。2度目にして、大幅改善の予感!
北村さんによれば、「これを『難しくてできない』という人はいない」とのこと。
たしかに、自分が好きなものを覚えていくだけなのでストレスはなし。マップを描いているときは、心なしか脳が熱くなってくるので、脳トレの効果かな? と実感。マップを描き起こしてからもう一度訪れる手間はかかるけれど、効果は絶大だ。
※女性セブン2020年5月21・28日号