「休校の長期化で、学力格差の拡大が懸念されます。オンライン授業の導入は、公立と私立、地域などで差があり、家庭内のネット環境にも左右される。一番望ましいのは学校の再開です。
ただ、再開には先生の力だけでは足りません。平時と同様に給食を提供したり、生徒がよく触る場所は頻繁に消毒しなければならない。消毒液の確保や、給食や感染予防のための人員確保が必要です。集団登校での感染防止のため、分散登校が望ましいですが、それには地域住民の見守り支援が必要な子どももいるでしょう。そうした包括的な支援が必要です」
最後に、数理モデルに詳しい滋賀大学データサイエンス学部の田中琢真准教授が言う。
「感染者が完全にゼロになるまで自粛するのは非現実的です。感染症による死者を減らすために、経済的理由による自殺者のほうが増えてしまっては元も子もない。『感染者が出ることをどこまで許容できるか』について、社会的な合意を得ることが重要ではないか」
納得できる解除条件を──それこそが国民から政府への“要請”である。
※週刊ポスト2020年5月22・29日号