河井夫妻の捜査はどうなるのか(写真/共同通信社)
黒川については、これまでも法務検察の案を覆す人事が度々おこなわれてきた。なかでも今回は耳を疑うような人事介入だといえる。
実は、その前兆は昨年11月に遡る。このとき法務省が、今年2月8日に63歳の定年を迎える黒川東京高検検事長の後継人事案を提出した。新たな検事長に据えようとしたのが、現名古屋高検検事長の林真琴だ。
黒川と司法修習35期の同期である林は、検事総長を争うライバルと目されてきた。東京高検検事長は検事総長の待機ポストと位置付けられ、この時点で法務検察は黒川ではなく、林を総長に据える意思を官邸に示したことになる。
だが、首相官邸はこれを差し戻した。「黒川を検事総長として処遇するように」と伝えたと聞く。検事総長の稲田伸夫が黒川の63回目の誕生日である2月8日の前に退任し、後継総長として黒川が1月中に就任するというシナリオである。
しかし、稲田は退任せず、そのシナリオは頓挫。挙げ句、安倍政権は検察庁法に存在しない検事の定年延長を1月31日に閣議決定する。そして今国会でそれをあと付ける最長3年の定年延長の法改正を持ちだしたのである。
そこからネット上で反対運動が盛り上がると、流れを引き戻そうと、櫻井インタビューを画策。皮肉にもネット番組で墓穴を掘ってしまった。
定年延長という浅はかな発想を持ちだしたのは誰か、あと付けの法改正をしようとしたのは誰か。いまや官邸内はその責任追及で火花を散らしているという。ある官僚に聞くと、こう打ち明ける。