2020年に発生した主な地震
「小さな揺れも含めれば日本列島全体では1か月で1万5000~3万回の地震が起きています。昨年5月から今年5月10日までの1年間でも、マグニチュード5.0以上の地震は74回、同5.5以上の地震は37回発生しています」
こう語るのは、立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授だ。だが、この1か月の地震を分析すると、共通点が見つかるという。
「茨城から西日本まで広域で発生している群発地震は、すべてフィリピン海プレートの影響で起きていると考えられるのです」(高橋特任教授)
◆「スーパー南海地震」の可能性
関東地方は北から北米、東から太平洋、南からフィリピン海と3つのプレートが押し合っている(別掲図参照)。今年、関東地方で発生した主な地震はいずれも北米プレートとフィリピン海プレートの境界付近が震源だ。
「注目すべきは震源の深さです。一番上に位置する北米プレートとその下に位置するフィリピン海プレートの境界とされる50km前後で多数発生しているため、関東地方の地震はフィリピン海プレートの活動が原因で起きていると考えられます。関東大震災はフィリピン海プレートが北米プレートの下に潜り込む相模トラフで発生しています。
ユーラシアプレートにも圧力をかけているため、関東のみならず、浜松や三河湾、紀伊水道、豊後水道、日向灘、奄美大島、沖縄本島、宮古島と幅広いエリアで頻繁に地震が起きるようになりました。霧島山新燃岳(鹿児島)や阿蘇山(熊本)の火山活動が活発化していますが、これらもフィリピン海プレートがユーラシアプレートを圧縮することによって発生する火山の爆発と考えられます」(高橋特任教授)