コロナの混乱が続く今の世の中だからこそ、ドラマから何かを感じ取る人も(Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中)

 なかでも前述のCJグループは、赤字を出してまで、「文化の産業化」にこだわり、この分野での成功に強い情熱を持ち続けた。

 CJグループ会長の夢は、世界の人々が毎年2~3本の韓国映画を見て、毎月1~2回韓国料理を食べ、毎週1~2本の韓国ドラマを視聴して、韓国文化を楽しんでもらうことだという。

 英語以外の映画で初のアカデミー賞作品賞となった『パラサイト』が誕生し、『愛の不時着』に代表される第四次韓国ドラマブームがほぼ同時期に生まれたのは、決して偶然ではない。昨年から今年にかけて、20年以上続けてきた彼らの根気強い“種まき”の成果が実った結果だったのだ。韓国エンタメに詳しいライターの佐藤結さんが言う。

「『愛の不時着』には歴代の韓国エンタメへのオマージュが数多くみられます。最たるものが、チェ・ジウ本人が登場して韓流好きの中隊員ジュモクとドラマ『天国の階段』の名台詞をかけあう場面。ほかにも映画『シークレット・ミッション』(2013年)で演じた北朝鮮のスパイの姿で、キム・スヒョン(32才)が登場。BTSファンの北朝鮮の女の子が現れたりと、ここ近年の韓国エンタメの集大成になっています」

 加えてブームを後押しするのがNetflixだ。

「Netflixは2018年に韓国支社を設立し、CJグループの関連企業や、大ヒット中のドラマ『梨泰院クラス』を制作するケーブル大手のJTBCと次々に長期契約を締結しました。これにより韓国内のケーブルで放送されたハイクオリティーのドラマがNetflixを通じて世界に配信される流れが確立されました」(佐藤さん)

◆日々の生活にちりばめられている小さな幸せを忘れないで

 コロナ禍で外出自粛する多くの人が「私は『愛の不時着』に救われました」と話す。

「セレブ生活から一転して北朝鮮で慎ましく暮らすセリが夜中に停電に見舞われ、『投資した30億ウォンがパーになったときよりいまの方が悲しい』と涙したとき、ジョンヒョクが『災いの後には幸せが来るものだ。きっと何とかなる。本当だ』と静かに諭すシーンが心に残ります。世界がコロナの暗闇にあるなか、“そうだ。あとには幸せが来るんだ”と勇気づけられました」(48才・百貨店勤務)

 孤独で人を信頼できないセリは母国では白ワインのソーヴィニヨン・ブランしか飲まず、高級食材をひとりで少しだけ食べる「小食姫」だった。だが北朝鮮に来てからは人が変わったように、ささやかな食事を楽しむようになった。ジャーナリストの治部れんげさんが分析する。

「彼女はジョンヒョクや中隊員らと触れ合うことで人間性を取り戻し、みんなと一緒に楽しくおこげやラーメンを食べて、焼酎やビールを飲むようになりました。このドラマは質素だけど温かい食事、豆から煎るコーヒー、親しい人との笑顔の会話など、小さな幸せに満ちあふれています。コロナとともに暮らす私たちには、そうした日常のささやかな喜びが心に響くのでしょう」

 コロナでつらい状況でも、このドラマを見れば、生きる希望が湧いてくるはずだ。ただしハンカチを忘れずに。

※女性セブン2020年6月4日号

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン