緊急事態宣言の解除で通勤客が戻ってきた駅(時事通信フォト)
◆「ジャパン・アズ・ナンバー1」の凋落
これまでのコロナ対策の後手後手対応やアベノマスクに代表される迷走、検察庁法改正案を巡る騒動、黒川賭け麻雀辞任劇などを見せつけられ、安倍政権への不満や怒りの声が噴出している。内閣支持率調査でもコロナ対策への評価は厳しい。
一連の対応に翻弄された国民の多くは、コロナ収束後の国の再生はこの政権では絶望的 だと感じ取っているのではないか。問題は、ポスト安倍政権がよほどしっかりとした再生戦略を打ち立てないと、日本はこのままどんどん沈んでいく恐れがあることだ。
冷静に10年後、20年後の日本社会がどうなっているか見てみよう。まずは人口構成。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局がまとめた「将来に予想される社会変化」(2019年3月)によると、10年後の2030年には総人口は1億1900万人で1億2000万人を割り込み、生産年齢人口は6880万人と2020年の7410万人から530万人減少すると見られている。
20年後の2040年になると、総人口は約1億1000万人まで減り、高齢者人口(65歳以上)が3920万人と全体の35%に達する。生産年齢人口(15~64歳)は5980万人で、2020年の7410万人から1430万人も減ってしまう。
子どもの人口は1190万人で、2020年よりも約300万人減り、その割合は総人口の10.7% にまで低下してしまう。労働力、子どもが大幅に減り、高齢者の割合がピークになるのが 2040年だ。マンションや公園から小さな子供たちの姿がどんどん消え、公園で見かけるのはベンチ老人ばかり。そんな日常が当たり前になる。地方の限界集落の多くは空き家や廃屋だらけとなっているだろう。
生産現場や職場も様変わりだ。すでに製造業の生産ラインの多くは人から産業ロボットに変わっている。休むことなくミスもしないロボットに、多くの人々が仕事を奪われてしまった。今後の“脅威”はAI(人工知能)だ。