インバウンド頼みの「観光立国」はどこまで通用するか(飛騨高山/時事通信フォト)
10年後、20年後の日本の姿を政府の資料などに基づいて、その一部分を紹介してみたが、これらの資料はいずれもコロナ禍が起きる前に作成されたものだ。今の状況をベースに考えていけば、将来像は一段と厳しくなることが予想される。
はっきりしていることは、縮小化と老成である。もちろん、リニア開通やAI実用化、通信網整備など、インフラ整備やテクノロジーの進化はあるが、経済の支え手である生産年齢人口や将来を担う子ども人口が大幅に減ってしまうことによる国力ダウンは否めない。
これは経済だけではない。今回は触れなかったが安全保障面でもかなり厳しい状況が予想される。今でさえ定員割れ(充足率91.7%)の自衛隊の隊員数を維持できるかどうか、ひとつとっても楽観できない。
政治はどうか。ポスト安倍以降に、世界と対等に交渉ができるような成熟した政権が誕生しているかどうか。これまた不安である。少子化がどんどん進み国力が低下する10年後、20年後の日本はG7どころか、G20にとどまることさえ危うくなっているかもしれない。
コロナ禍を一大転機ととらえ、この先どんな国づくりを目指すのか。そして、どんな社会を構築していくのか。
他国民頼みの「観光立国」にしがみつくのか、得意のモノづくりを活かした「先端技術 立国」を構築するのか、教育・研究分野を強化して「知能立国」を目指すのか、優れた人材を世界に送り出す「教育立国」を目指すのか──。政治家や経済人に委ねたり、任せたりするのではなく、国民一人一人がじっくりと考える時期に来ている。