ライフ

現役最高齢料理研究家ばぁばが教える「天ぷら」のポイント

天ぷらに存在する日本料理の決まりごととは

『きょうの料理』(NHK Eテレ)への出演でおなじみの現役最高齢、95才の日本料理研究家、“ばぁば”こと鈴木登紀子さんが、後世に残したい日本料理を紹介します。今回は「天ぷら」です。

◆魚介を揚げたものは天ぷら、お野菜は精進揚げと呼びます

 日本料理には、調理から盛りつけ、そしてお食事の作法に至るまで、守るべき決まりごとがあります。

 たとえば包丁の扱い方。包丁にも表と裏があることをご存じですか?

 包丁は刃がある方(斜めになった方)が表で、お刺身やきゅうりを右から切っていきますと、最後に包丁の表側に食材があたります。盛りつけをする際は、刃にあたっていた切り口(表)を上にします。

 このような決まりごとは、日本料理のルーツである古代中国の【陰】【陽】が土台になっています。

 陰陽の思想は、この世の森羅万象を陰と陽のふたつに分け、さらに表が陽で裏が陰、奇数が陽で偶数が陰という具合に、相反する2要素が対立と依存をしながら万物を形成すると定めたもの。お料理にもこの陰陽が深く関係しているのです。“表”である奇数が吉とされるため、お刺身は一般に3・5・7切れのいずれかで盛りつけるのが基本です。

 この決まりは、天ぷらにも当てはまります。天ぷらの盛り合わせを作るときには、3・5・7種と必ず奇数にします。ちなみに“天ぷら”は、正式には魚介を揚げたもののこと。お野菜は“精進揚げ”と呼びます。さらには、天ぷらと精進揚げは本来別々の器に盛って供すべきで、天つゆは天ぷらに添えるべきものなのです。

 とはいえ、ご家庭ではそこまでこだわる必要はありません。知識として覚えておかれるとよいと思います。

 ただし、「揚げたてをすぐに食べられるように、食卓の準備を整えておく」という“ばぁばの決まりごと”はお守りくださいね。

【具材の仕事】
●旬の魚介と野菜を用意。野菜は食べやすくひと口大に切り揃える

 れんこん、さつまいもなどの切り口が丸い野菜は小ぶりのものを選び、皮をむいて約7mm厚さの輪切りに。にんじんは皮をむいて細い拍子切り、ごぼうは皮をよく洗ってささがきにし、何本かまとめて小さなかき揚げ風にすると食べやすい。えび、いか、穴子などの魚介類は、下処理をして水気を拭きとる。小麦粉を茶こしなどでこしならがら、全体にまぶす。

関連キーワード

関連記事

トピックス

アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
19歳の時に性別適合手術を受けたタレント・はるな愛(時事通信フォト)
《私たちは女じゃない》性別適合手術から35年のタレント・はるな愛、親には“相談しない”⋯初めての術例に挑む執刀医に体を託して切り拓いた人生
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン