それだけに、これまで駅舎そのものや併設されている駅ビルが減築されることは稀だった。しかし、地方都市は人口減少が待ったなしの状態になっている。背に腹は変えられない。
都心部では、高輪ゲートウェイ駅や虎ノ門ヒルズ駅といったバブリーな駅が生まれている。これらの駅が脚光を浴び、東京一極集中は加速する。一方、地方都市では駅舎に莫大な資金を投じる余裕はない。今後も新駅が開業する可能性はあるだろうが、簡素な構造の駅が関の山だろう。とても、虎ノ門ヒルズ駅や新しい原宿駅のような駅は望めない。
倉敷駅が前例になって、人口が少ない地方都市で既存の駅舎・駅ビルを減築する動きが活発化する可能性は否定できない。
長野電鉄の権堂駅と地下で直結していたイトーヨーカドー長野店が、6月7日をもって閉店する。同店は権堂駅の駅ビルのような存在で、閉店後は5階建ての店舗を2階建てへと減築して2年後に再オープンを予定している。
駅舎・駅ビルの減築は人口減少・都市衰退の一里塚として受け止めるべきか? それとも、生き残るための”集中と選択”なのか? 減築がどのような作用をもたらすのかは、今後の取り組みにかかっている。