国内

ゆるキャラが窮地 コロナで仕事激減し収入0、YouTubeも苦戦

 

東京都品川区「戸越銀座商店街」のマスコットキャラクター・戸越銀次郎

 夏の行楽シーズン目前。この時期、例年全国各地のイベントやお祭りに向けて大忙しになるご当地の“ゆるキャラ”たち。しかし今年は、新型コロナウイルスの影響で各地のイベントが相次いで中止となり、ゆるキャラの仕事が激減しているという。ゆるキャラの着ぐるみの“中の人”にその苦しい状況を聞いた。

 ゆるキャラ研究家の犬山秋彦さん(44才)は、自ら“中の人”として、東京都品川区の戸越銀座商店街のマスコットキャラクター『戸越銀次郎』と、同じく品川区大崎西口商店街のマスコットキャラクター『大崎一番太郎』の2つのゆるキャラを運営している。

「例年なら、この時期は毎週末、地元商店街での定例イベントや地方のイベントに呼ばれて忙しい時期なのですが、今年は1月下旬以降、仕事はすべてキャンセルになりました。各地のゆるキャライベントもすべて中止となり、毎年5月下旬に開催される都内最大のご当地キャライベント『ご当地キャラクターフェスティバル in すみだ 2020』も取りやめになりました」(犬山さん・以下同)

 ゆるキャラのイベントなどの出演料の相場は知名度などによってさまざまだが、犬山さんの場合、無料~5000円、高くても3万円ほどだという。

「私のように、自治体ではなく個人でキャラクターを運営している者は、出演料よりもイベントでのグッズ販売が主な収入源。大きなイベントなら数十万円ほどの売上げがあるのですが、イベントがなくなってそれが完全にゼロになってしまいました」

 しかし、頭からすっぽりと被る着ぐるみは、フェイスシールドや防護服を装着しているようなものなので、問題ないのではないか。

「キャラクターがそこにいる、というだけで人が集まってきてしまうんです。子供たちが駆け寄って来て握手を求めたり、着ぐるみに顔をうずめたりするので、感染拡大防止の観点からするとあまり良くないですよね」

 集客が目的であるゆるキャラの存在意義が否定される悲しい事態だ。特に戸越銀座商店街は、緊急事態宣言が出て初めての週末、商店街の混雑ぶりがテレビで報道され、「コロナなのになぜ店を開けているのか」など苦情が相次いだ。そのため商店街は、お店や人々に向けてかなり厳しく自粛を呼びかけた。

「今は、完全にボランティアで、コロナ感染予防のため商店街で配布する大崎一番太郎のポスターや戸越銀次郎のイラストを作成・提供したりしています。普段から商店街の皆さんにはお世話になっていますから、こういう非常時こそ役に立てたらと思います。人前には立てませんが、こういう形で人々のすさんだ気持ちが少しでも和らげば嬉しいです」

YouTubeで動画を配信する品川区「大崎西口商店街」のマスコットキャラクター・大崎一番太郎(左)と大崎ニセ番太郎

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト