国際情報

香港の国家安全法導入でアメリカが香港から資金引き上げへ

香港には大きな打撃か

 米国政府が香港で所有する不動産などの資産を売却するほか、香港政府に認めてきた経済的な優遇措置の廃止の手続き開始の準備を進めていることが明らかになった。中国政府が香港での国家安全法導入に対抗するためのものだ。米国による一連の措置が実施されれば、他の欧米諸国も追随する可能性もあり、香港の国際的な貿易・金融センターとしての地位に大きな打撃となることは必至だ。

 香港のウェブメディア「香港01」によると、米政府が売却を検討しているのは香港島南部の南区寿山村道の米国総領事館職員宿舎として使われている6階建てのビル。米政府は1948年に購入しており、現在の不動産価値は100億香港ドル(約1400億円)に上る。

 米ブルームバーグ通信も米国務省の海外資産担当者が香港総領事館に送った電子メールのなかで、「国務省資産管理局はグローバルな再投資プログラムの一環として、米政府は保有している海外不動産を定期的に見直している」と指摘。そのうえで、香港の職員宿舎ビルをはじめ、他の職員用の福祉・娯楽施設などの売却検討も始めていることを明らかにした。

 同通信によると、これは中国政府が香港に国家安全法を導入することで、米国資産の差し押さえや米国市民の拘束・逮捕の恐れがあるため。米政府は今後、香港からの資金引き揚げを拡大し、米国民の帰国を促していくとみられる。

 米政府は1992年制定の「米国・香港政策法(香港関係法)」で、香港の「一国二制度」が守られていることを前提に、香港を関税や査証(ビザ)発給などの面で中国本土とは異なる地域として優遇してきた。だが、トランプ米大統領はこうした措置の取り消しに着手すると明言。さらに、軍事・民生両方に利用できる高度な先端技術の輸出規制についても言及している。

 また、ポンペオ米国務長官もさきに米国が香港に認めてきた特別扱いを「続ける状況にはない」と議会に報告したことを明らかにしている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン