訪問看護では手を握ってゆっくり話を聞いてくれることもある(写真/イメージ)

◆外出自粛で弱った母に医療・看護のプロを

 最近、急に蒸し暑くなり、あの帯状疱疹の悪夢がよみがえってきた。季節の変わり目、また免疫力が落ちているのかと思うと気が気ではない。

 しかも今年はコロナのリスクが漂っている。緊急事態宣言解除後も各方面からデイサービス自粛をすすめられ、母の閉じこもり状態も続行中だ。

 友人の老親が家の中でよろけて骨折した話を聞いてゾッとしていたところに母から、「認知症になったみたい…」と仰天電話。身も心も危うくなる高齢者の閉じこもりリスクは侮れないのだ。

 そこで思い出したのが“訪問看護”だ。実は帯状疱疹騒動のとき、ケアマネジャーが提案してくれたのだが、当時はその必要性を感じなかった。

 訪問看護や訪問診療など、医療者に家に来てもらう形態は、認知症以外に持病がなく、自分の足で通院できる母には不要のものと思っていたのだ。でもコロナ禍の“何が起こるかわからない”不穏ないまこそ、プロにかかわってもらいたいと切実に思った。

「病気じゃなくてもいいんですか?」と、率直に聞くと、「病気の兆候をいち早く見つけて、医療につなげるのが訪問看護の仕事の1つ。聴診器で胸の音以外にも、のどの音で嚥下状態を、お腹の音でお通じがうまくいっているかも診るんですよ」と看護師さん。

 手を握ってゆっくり話を聞くこともあるという。俄然、心強くなった。年を取ると交流範囲はどんどん狭くなるが、訪問看護師さんという新たな仲間が、母の人生に加わった。

※女性セブン2020年6月25日号

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