上は肺胞性肺炎、下は新型コロナによる間質性肺炎。後者では両方の肺全体に白い影が広がる

 若くして肺炎に斃れた角界からの悲しい知らせは、まだ記憶に新しい。高田川部屋所属の三段目力士だった勝武士(本名・末武清孝さん、享年28、5月13日逝去)は糖尿病の持病があったと指摘されている。やはり若くとも基礎疾患があると高リスクとなるようだ。

 さらに、生まれつき肺が弱い人もいる。

「遺伝的に細菌感染に弱い免疫不全の人や、日本ではまれですが『嚢胞性線維症』といって、小さいときから肺炎を繰り返し、肺が壊れていく病気もあります」(松瀬さん)

「職業病」としての肺疾患もある。断熱材などの建築資材として高度経済成長期に特に多用されたが、のちに肺の病気を引き起こすことが判明したアスベストだ。非常に微細なその繊維が肺に入ると、肺がんや中皮腫という病気の原因となる。

 医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが解説する。

「基本的に、肺に入ったものは外に出せるのですが、アスベストの粉塵は小さすぎるため、肺の“換気機能”で排出できず、肺胞や間質を傷めるのです」(上さん・以下同)

 同じように、PM2.5など細かい粒子によって起きる大気汚染にも要注意だ。このように生活環境が肺の病気を招くことも少なくないのだ。

 適度な飲酒は基本的に問題ないが、アルコール依存症レベルの大量の飲酒も危険大。飲酒を続けると、「クレブシエラ」という細菌で肺炎を引き起こしやすくなったり、糖尿病などの生活習慣病を引き起こして免疫不全になり、結果的に肺感染症に弱くなったりする。

 また、意外なことに薬の副作用による肺炎は多い。

「2009年に出た1382件の間質性肺炎のうち、700件は抗がん剤が原因だといいます。薬剤にはあらゆる副作用があるため一概にはいえませんが、免疫暴走が理由だろうといわれています。そのほか、リウマチの薬も間質性肺炎を引き起こすことがあるとわかっています」

 1990年代には、漢方薬「小柴胡湯」の副作用で間質性肺炎になったという報告が相次ぎ、10人が死亡したことで世間を騒がせた。

 間質性肺炎の原因である免疫機能の過剰反応については、まだわからないことが多い。放射線治療、ペットの毛や健康食品、サプリメントによるアレルギーなど、人によっては思いがけないものから影響を受ける。

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