金村義明氏も「ほぼ無観客」経験者
ファンのありがたみを最も知るのは、実際にプレーした選手たちだ。
「僕が現役の頃はセも巨人戦しか満員にならなかった。だからこそたまに大入りになると、ファンのありがたさが身に沁みました。ヒットやホームランに歓声が沸き、球場全体でひとつの球を追いかけているという空気がある。見られているとやりがいがありました。お客さんがたくさん入ってくれる今の選手は幸せです。今回の無観客試合で、ファンのありがたみがよくわかるんじゃないですか」(門田氏)
当たり前のように思っていたものが、なくなってから大切だと気づくことがある。プロ野球選手にとっての観客も、そんな存在であるようだ。
最後に、1971年に東映フライヤーズに入団し、翌年南海に移籍した江本孟紀氏(72)がプロ野球ファンに、無観客試合の楽しみ方を伝授する。
「スタンドに人がいないと飛球線も見やすいし、バットの芯に当たると独特の音がしてホームランだとわかります。テレビ中継を通じても、打者のスイング音、ボールがキャッチャーミットに収まる音などで、打者や投手、野手や走者のすごさが伝わるはずです」
スタジアムに足を運べるようになる日まで、無観客ならではの野球観戦を堪能したい。
※週刊ポスト2020年7月3日号