高橋特任教授によれば、大地震は突然起きるわけではなく、本震が発生する数か月ほど前から地盤が割れたり、プレート同士が密接している部分(固着域)が剥がれたりといった現象が水面下で進行しているという。
その上で、今回の異臭騒ぎが三浦半島を支えるプレートの異変を示している可能性を指摘する。
「三浦半島や東京湾を挟んで対岸にある房総半島南部の周辺には活断層が多く、東京湾口には『相模トラフ』が存在します。相模トラフは北米プレートの下にフィリピン海プレートが潜り込む形で摩擦により固着しているのですが、フィリピン海プレートによる圧力が強くなると、固着域が剥がれていき、それに伴い岩石が崩壊する。それが今回の異臭騒ぎの原因となった可能性があるのです」
「スーパー南海地震」の可能性
この1~2か月、各地で地震が頻発している。5月20日から22日にかけて、東京湾を震源とする地震が7回発生。中部地方では4月22日から5月13日にかけて長野・岐阜の県境を震源とする地震が88回発生し、福島県沖や茨城県沖、千葉県北東部、四国の紀伊水道などでも5月以降、震度4を超える地震が頻発している。
6月16日には千葉県南部を震源とするマグニチュード4.2の地震が発生した。気象庁の統計によれば、直近1か月(5月14日~6月14日)の全国の地震発生回数は211回。1~2月の2か月間で発生した地震は計219回で、急増は顕著だ。
「とくに茨城から西日本にかけて多発している地震は、全てフィリピン海プレートの影響で起きていると考えられます。その最中に三浦半島で異臭騒ぎが起きたので、警戒心が一層強まりました」
そう語る高橋特任教授は、一連の地震や異臭騒ぎが、懸念されている「南海トラフ地震」の兆候である可能性を指摘する。