AKB48の卒業セレモニーで歌う秋元才加(時事通信フォト)

 秋元のこういった活動を称賛する声がある一方で、「意識高い系」(意識は高いが中身が伴わない人を指す俗称)と揶揄する声もある。どうやらアンチたちは「元アイドルの小娘が突然何かに“かぶれた”ようだ」と捉えているらしい。

 しかし、『「百合映画」完全ガイド』(星海社新書)の執筆者の一人で、自身もレズビアンであることをオープンにする社会学研究者・中村香住氏は、秋元の活動は意味があるものだと捉えている。48グループの長年のファンでもある中村氏は、アイドル時代の秋元についてこう証言する。

「秋元才加さんは、AKB48時代から、折に触れてマイノリティについて発信していました。ある日の握手会が終わった後のブログには、〈セクシャルマイノリティの皆は沢山来てくれるようになったかな〉〈自分らしくいることが一番大事だと思うけど、まだまだ日本には一部受け入れられてない状況もあったり辛い想いをする事も多いと思う〉とつづっていました」

 秋元が目を向けるマイノリティは、性的少数者だけではない。中村氏が続ける。

「別の日には〈耳や体が不自由な方も前より沢山来てくれて、心を通わせてくれる。皆が不安の無いそんな握手会にしたいです〉とも書いていました。実際に手話も勉強して、耳が不自由なファンとの握手の際に手話でコミュニケーションを取る様子も見たことがあります。当時から、彼女のこうした姿勢に勇気付けられていたマイノリティ当事者はたくさんいたと思います。他人事としてではなく、実際に目の前にいるマイノリティ当事者のファンと向き合う中で考えを深めてきた彼女の発信は、説得力を持っています」

 秋元のマイノリティに寄り添う姿勢は、日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれ、幼少期に「ハーフ」「フィリピン」といじめられた経験も関係しているのかもしれない。もともとスパイス・ガールズやマドンナにあこがれて芸能界入りした秋元。その言動は“かぶれた”どころか、彼女の源泉そのままと言えそうだ。

●取材・文/原田美紗(HEW)

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