佐々木希の決断は
俳優として黒沢清監督の『トウキョウソナタ』や園子温監督の『恋の罪』といった映画、さらにNHK大河ドラマ『龍馬伝』をはじめとした数多くのテレビドラマに出演。またプロ雀士の資格も有しており、麻雀を解説するウェブサイト「こじまーじゃん」を運営している。渡部にはない才能をいくつも発揮してきたのだ。
児嶋の実力はアンジャッシュというコンビ内でも発揮されてきた。お笑い評論家のラリー遠田氏は「アンジャッシュは何よりもネタの面白さに定評があるコンビで、児嶋さんがそこで一定の役割を果たしていたのは間違いない」と解説する。
「アンジャッシュの2人を比較すると、渡部さんのほうが知的でしっかりしているイメージがあるため、ネタ作りも渡部さんが担当していると思われがちです。しかし、本人たちの話によると、実際には2人で協力してネタ作りをしているそうです。児嶋さんは過去にソロライブを開いたり、ピン芸人の大会『R-1ぐらんぷり』に挑戦したりして、ピン芸を披露していたこともありました。そのときのネタは自分で作っていたと考えられます」(ラリー遠田氏)
さらにピン芸人としてバラエティ番組などで活躍する姿についても、ラリー遠田氏は「彼の右に出る者はいない」とその実力を高く評価している。
「児嶋さんは『イジられキャラ』としても貴重な存在です。芸人たちにきつくイジられても、声を張って力強いツッコミで返すのが面白い。先輩にイジられるタイプの芸人はたくさんいますが、児嶋さんの場合、後輩でも思わずイジりたくなるような魅力があります。イジられキャラの芸人はほかにもいますが『後輩にもイジられる』という分野では彼の右に出る者はいないでしょう」(ラリー遠田氏)
「大嶋さん」と呼ばれ「児嶋だよ!」と返すギャグは、あまりにも有名だ。後輩芸人はもちろん、若手タレントからもことあるごとに「大嶋さん」とイジられるようになったのは、そうした彼の魅力的なキャラによるのだろう。
もちろん近年は“イジり芸”それ自体の問題点が指摘されることもあるものの、一旦その是非を脇に置くとして、児嶋がピン芸人として得がたい存在であることには変わりない。たとえ渡部の芸能活動への復帰が難しくなったとしても、芸人・俳優・プロ雀士として多方面で実力を発揮する児嶋は活躍し続けることができそうだ。
●取材・文/細田成嗣(HEW)
佐々木希はいまどうしているのか