国内

現役清掃員が明かす多目的トイレのあまりに多目的な使われ方

多目的トイレは、通常のトイレ利用が難しい人たちのためにある

多目的トイレは、通常のトイレ利用が難しい人たちのためにある

 新型コロナウイルスにより自粛生活を迫られ、通常の経済活動が難しくなってから「エッセンシャルワーカー」の重要性がクローズアップされた。直訳で必要不可欠な労働者、という意味のその呼び名は、安倍晋三首相も用い、電力や鉄道、ごみ収集などの職種を挙げながら感謝の言葉を述べている。仕事や人生がいまひとつうまくいかないと鬱屈する団塊ジュニアやポスト団塊ジュニアを「しくじり世代」と名付けた俳人で著作家の日野百草氏が、今回は、トイレ清掃というエッセンシャルワーカーとして働く47歳男性に聞いた、仕事から垣間見える利用者の姿についてレポートする。

 * * *
「トイレの中に監視カメラはつけられませんから、やりたい放題ですよ。多目的トイレの使われ方なんて普通の人はわからないだろうけど、そりゃ凄いもんです。よくもまあみんな思いつくもんだと思います」

 新宿の商業施設で清掃業務につく原西徹さん(仮名・47歳)は怒るでもなく淡々と語ってくれた。原西さんは清掃会社の契約社員。他のパートの清掃員、主に高齢の女性たちとともに日々施設の環境美化に取り組んでいる。清掃中の原西さんに声をかけ、じゃあ終業後ということでお話しいただいている。通用口から駅まで歩きながらの取材となったが、同い年だったことと原西さんが好きなガンダム話で打ち解けることができた。

「トイレは基本的に男女とも女性がやりますんで私は指示だけです。まだ契約(社員)ですけど現場の仕切りもやってます。仕事は慣れたら難しくもないし楽ですよ」

 日常清掃は決まった作業の繰り返しだ。季節やイベントによって作業計画表が変わったり、人が辞めたりで作業量が増えたりもするが、正社員のように営業や人事、管理などの仕事はないのでいまのところ気楽だという。

「清掃に限った話じゃないですけど人間関係が一番大変なんです。女性の職場ですからね。生意気な爺さんなんかすぐにハブられる。おばちゃんたちにかわいがってもらうのが秘訣です」

 清掃は女性優位だ。男性は女子トイレの清掃はできないが、女性、とくに高齢の女性は問題ない。これにとやかく言う輩も多いが現実である。しかし多目的トイレに限れば男女兼用、原西さんも担当する。

「一般トイレよりひどいですよ。一般トイレも大小はみ出してたり吐瀉物が飛び散ってたりしますけど、商業施設なんで駅のトイレほどじゃない。私は駅のトイレ清掃も経験ありますけど、あっちは汚物と格闘ですが、商業施設のトイレ、とくに多目的トイレは変な利用者との格闘です」

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン