児島さんのコメントのように、彼は仕事もプライベートも順風満帆に進んでいく人生に、何でも自分の思い通りになると勘違いし、全て思うがままになるという「幻想」を持ってしまっていたのだろう。「今まで浮気が妻にバレたことは一度もありませんでした」とも話しており、妻にも周囲にも不倫が一切バレず、彼を知る人たちからも悪口は聞かれず、出てくるのは好印象のみという状況が、その幻想に拍車をかけた。
心理学ではこのような幻想を「コントロール幻想」と呼ぶ。これが強いと、自分の影響力を過信するあまり、ギャンブルやスポーツの勝敗という自分ではコントロールできないことや、天気や相手の気持ちなども、まるで自分でコントロールできているかのような錯覚を感じてしまうのだ。
こうなると、ここから抜け出すのはなかなか難しい。幻想に浸っているほうが幸せだし、万能感を感じられるからだ。またこういう状況に置かれると、冷静に自分の状態を判断できなくなる。誰かが進言やアドバイスをしても、聞く耳を持たない。思い通りになるのだから、聞く必要がないとすら感じるからだ。今回の渡部のように、アクシデントや暴露など何らかの大きなきっかけがなければ、自分がそういう状態にあると気付くことが難しくなる。
今回の騒動で、渡部を擁護する人はほとんどいなかった。コントロール幻想は誰にでも起こりうるものだが、物事が思うように進んでいる時こそ天狗になり、人に対して横柄で嫌なやつになっていないか、自分を見直すことが必要だろう。