極刑に処されて当然な被告たちが、国民の圧倒的な同情と支持で、死刑を免れ、恩赦もあって早々と復権する。その過程には、メディア・キャンペーンによる、あっという間の世論の変化があった。

「五・一五」を機に政党内閣は終わり、普通選挙の投票結果は政治を動かせなくなった。次期首相を決める「元老」西園寺公望は「憲政常道」の原則を持し、政友会総裁の鈴木喜三郎を推挙することに決めていた。それが「天皇の希望」によって、西園寺は「変心」を余儀なくされ、斎藤実「挙国一致」内閣が登場する。昭和天皇と側近たちが政党政治に引導を渡した。この刺激的な指摘には十分に説得力があり、「希望」の表明は結果的に昭和史の悲劇を生んでいく。

※週刊ポスト2020年7月10・17日号

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