中国は周辺国への圧力を強めている(池上彰氏)

中国は周辺国への圧力を強めている(池上彰氏)

 さらにオーストラリア産の大麦に80%もの関税をかけると発表しました。中国は、オーストラリアの調査要求とは無関係だと説明していますが、誰も信じていません。「新型コロナウイルスに関して調査を求めると、こんな打撃を受けるのだ」ということを世界に知らしめたのです。こうなると、ほかの国もうっかり「調査」を言い出せないというわけです。

 さらに中国は4月、南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)を管轄する行政区を新設しました。南シナ海はそもそも公海です。その一部に関してベトナムやフィリピンが自国の領海だと主張していましたが、中国政府は「南シナ海は中国の領海」だと一方的に宣言し、サンゴ礁を次々に埋め立てて島を造成。軍事基地を建設してしまいました。この行動に対しては、ベトナムやフィリピン、さらにアメリカが強く非難してきました。

 ところが、各国が新型コロナウイルス対策に追われている隙を突く形で、南シナ海の支配を強めているのです。

 それだけではありません。香港に対する締め付けも厳しくしています。香港は1997年、イギリスから中国に返還されました。このとき中国は、香港に対して「一国二制度」を適用し、50年間は香港に中国の法律は適用せず、言論・表現・報道の自由を認めると宣言しました。中国国内では中国共産党によって、こうした自由が制限されていますが、香港は特別扱いすると言ってきたのです。

 ところが、香港で民主化運動が盛り上がると、中国政府は、この運動を「暴動」と決めつけ、香港政庁に対して取り締まりを強めるように圧力をかけてきました。

 そもそも香港の憲法にあたる「香港基本法」では、香港で適用される法律は香港の議会である立法会が制定すると定められているのに、中国の国会に当たる全国人民代表大会が5月、香港の立法会の頭越しに「国家安全法」の制定方針を採択し、6月末に法案が可決されました。

 この法律は、中国政府に対する「反逆、分離、扇動、転覆」を禁止するというものです。今後は、たとえば「中国政府は香港の民主化運動に介入するな」と香港で主張することが、中国政府に対する「反逆」や「扇動」に該当すると判断されかねなくなったのです。事実、法律が施行された7月1日にはこの法律に違反したという疑いで10名が警察に逮捕されました(それ以外の法律に違反した疑いで360名も逮捕)。

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