このように「中国に逆らうことは許さない」という大国意識をむき出しにしているのが、いまの中国です。そこには、かつて帝国主義列強の植民地にされていたことへの被害者意識と、経済的に大国になったことへの自信が入り混じった意識が見えます。
「中国への批判は許さない」という強硬な姿勢は、自国への自信のなさの裏返しとも見ることができます。
アメリカと中国の狭間にあって、立ち位置に困る日本。まずは中国の現代史を知ることが大切です。
【プロフィール】いけがみ・あきら(ジャーナリスト)/1950年長野生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年にNHK入局。報道局社会部記者などを経て、1994年4月から11年間にわたり『週刊こどもニュース』のお父さん役を務め、わかりやすい解説で人気を集める。2005年にNHKを退職し、フリージャーナリストに。名城大学教授、東京工業大学特命教授。愛知学院大学、立教大学、信州大学、日本大学、順天堂大学、東京大学、関西学院大学などでも講義する。主な著書に『伝える力』『知らないと恥をかく世界の大問題』など。近著に『池上彰の世界の見方 インド』『池上彰のまんがでわかる現代史 東アジア』がある。