国際情報

池上彰氏が解説 コロナ禍での中国の圧力をどう見るべきか

武漢では全市民にPCR検査を実施(AFP=時事)

武漢では全市民にPCR検査を実施(AFP=時事)

 新型コロナウイルスは、公衆衛生上の問題から、いまや国際政治のパワーバランスにも影響を及ぼすようになっている。特に大きな動きが起きているのが、ウイルスを拡散させてしまった中国だ。各国が感染対策に追われている中で、中国は周辺国への圧力を強めている。ジャーナリストの池上彰氏が解説する。

 * * *
 多くの国々でコロナウイルス禍は収束していませんが、こうした危機のときに、その国の本質が現れることがあります。近著『池上彰のまんがでわかる現代史 東アジア』では各国の動きについて指摘していますが、ここでは中国について見てみましょう。

 2019年暮れに中国・武漢で発見された新型コロナウイルス感染症は、これに気づいて注意を喚起した医師が警察によって口封じされるなど初動が遅れ、世界に拡大しました。

 中国国内で徹底した都市封鎖を行って収束させると、一転して世界に対して「マスク外交」を繰り広げます。欧州やアフリカに対してマスクや医療用防護服を送り、「中国は感染防止に貢献している」というイメージづくりを進めています。

 ところが、ヨーロッパに送られたマスクや防護服に不良品が多く見つかり、中国への不信感が広がって中国に苦言を呈する政治家が出ると、各国に駐在している中国大使たちは、猛烈な勢いで、これを攻撃しています。

 イタリアでは、「中国に感謝しよう」というメッセージがSNSで拡散し、中国に好意を持つ人が増えたという世論調査の結果が出たのですが、その後、このSNSは中国が仕掛けた世論操作であることが判明しました。

 新型コロナウイルスを世界に拡散させてしまった責任を回避しようとする動きは露骨で、かえって中国に対する反感が高まっているのです。

 世界を驚かせたのは、オーストラリアに対する嫌がらせです。オーストラリア政府の閣僚が2020年4月、新型コロナウイルスがどのように感染を広げたか、独立した調査機関による調査が必要だと発言したところ、中国が反発。5月になって中国はオーストラリア産の牛肉の一部を輸入停止にしました。理由は「検査の条件に違反が見つかった」という曖昧なものでしたが、これによりオーストラリア産の牛肉の約4割が中国に輸出できなくなりました。オーストラリアにとって、中国は牛肉輸出の最大の相手国。オーストラリア国内に動揺が広がりました。

関連記事

トピックス

アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
19歳の時に性別適合手術を受けたタレント・はるな愛(時事通信フォト)
《私たちは女じゃない》性別適合手術から35年のタレント・はるな愛、親には“相談しない”⋯初めての術例に挑む執刀医に体を託して切り拓いた人生
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左・共同通信)
《熊による本格的な人間領域への侵攻》「人間をナメ切っている」“アーバン熊2.0”が「住宅街は安全でエサ(人間)がいっぱい」と知ってしまったワケ 
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン