テスラの新型SUV「モデルY」とイーロン・マスクCEO(AFP=時事通信フォト)

テスラは世界一の時価総額を誇る自動車メーカーとなった(AFP=時事通信フォト)

◆三代目が握る日本の命運

 「売り家と唐様で書く三代目」という川柳がある。

 祖父と父が苦労して商売を大きくしたものの、三代目の孫はぼんぼん育ちで苦労することもなく、ふだんから習い事ばかりをして商売のことを学ばないので、いざ事業を承継すると、とたんに経営を傾かせて、これまで築いてきた不動産を売却する羽目になるが、教養を身につけていたので、借金のかたとして家を売り渡すときには「売り家」と上手な字で(唐様で)書けるという皮肉がこもった意味を持つ。

 たしかに、歴史上、三代目の頃が「鬼門」だ。鎌倉幕府では、二代将軍頼家の息子に三代将軍の実朝の殺害されたことにより源氏の血筋が途絶えた。室町幕府では三代将軍の義満以降は将軍家の権力が衰えた。

 最近の自動車業界で言えば、エアバック生産で急成長した「タカタ」が三代目の代の2017年6月に1兆円を超える負債を抱え、製造業としては戦後最大の経営破綻にいたる。

 三代目は安定期と混乱期の端境期に君臨することが多く、これまで成功してきた勝利の方程式が通用しない局面に差し掛かり、その力量が問われることになる。『トヨトミの逆襲』では、EVを中心とする電動化や、クルマとAIの融合など迫りくる技術革新の波に、三代目の豊臣統一が揺れ動く場面が数多く盛り込まれている。

「ポストコロナ」という“新常態”の時代を、日本は三代目の安倍晋三氏を首相に据えて迎えることになった。「日本モデル」で新型コロナの封じ込めに成功したという“美しい妄想”にひたっている間に、日本経済の屋台骨・トヨタ自動車の時価総額が、イーロン・マスク率いるEVの「テスラ」に追い抜かれた。この国の政・官・業の劣化は日に日に加速している。

「日本と唐様で書く三代目」などと、この国が破綻しないよう祈るばかりだ。(文中敬称略)

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