「K値とは、感染の収束スピードを計り、今後の収束時期の予測に役立つ指標です。直近1週間の新規感染者数を、累計感染者数で割って求めます。
6月22日から7月4日までの全国各地の感染者数データからK値を求めると、7月9日頃から感染収束期(ピークアウト)に向かっていることが分かりました。K値によれば、これから自粛や緊急事態宣言を行なっても遅いということです」
K値の解析によれば、4月の緊急事態宣言は「効果がなかった」と結論づけられるという。
「3~5月のK値を分析すると、感染拡大のピークは3月28日頃でした。その後、感染は収束に向かいますが、4月7日に緊急事態宣言が出る前と出た後では、感染の収束スピードは一定で、全く変化が見られなかった。つまり収束は緊急事態宣言の発令とは関係なかったと考えられるのです」
中野教授は、厚労省クラスター対策班のメンバーで北海道大学の西浦博教授が提唱した「接触8割減」についても「必要なかった」と指摘する。
「各都道府県別にK値を求め、人口密度上位7都府県とそれ以外のK値を比較しても、人口密度にかかわらず収束スピードは一定でした。もし感染の収束に単なる『人との接触』が影響を及ぼすのであれば、人口密度が高い地域や、満員電車に乗る機会が多く、大きなターミナル駅がある地域のほうが収束スピードが落ちるはずです。このことから考えても、8割の接触制限は必要なかったと考えられる」(中野教授)