◆本業で助成金もらいましたが、微々たるものでした
暮沼さんによれば本業のある人のほうが採用されるのでは、という。ダブルワーク前提のアルバイトなので、あくまで生活の足しとして働いてくれる人を求めているそうだ。
「休憩時間も合わないし事情もいろいろなんでお互い親しくはなりませんけど、自営業で少しでも日銭が欲しいとか、サラリーマンの内緒の副業とか、年金の足りない分って高齢者もいますね」
なるほど、時給が高いと言っても清掃時間は短いため、まとまった金にはならない。店によっては時給1500円以上出すところもあるそうだが、全体としては僅かな収入だ。それでも欲しい人が集まっている。実際、昨今はコロナの影響で残業が無くなったり、リモートワークで手当が減ったりでアルバイトを始めるサラリーマンも多い。
「本業とダブルワークでそれなりの収入にはなりますからね、ありがたい仕事です」
で、暮沼さん自身はなぜこのアルバイトをしているのか。
「私、フリーのデザイナーなんですよ、小さな広告のデザインとかやってます」
どうやら「出版・広告・印刷」という括りのお仲間だったようだ。かつてはコミックのデザインなども手掛けたこともあるそうだ。最近は折込チラシやポスティングのチラシが中心だという。
「ただでさえ仕事が減ってたのがコロナで完全にポシャりました。チラシなんか絶望的ですよ」
コロナによる自粛騒動の中、商店はチラシを控えるようになった。スーパーも特売チラシなど控えているし、地域の新聞折込みなどは壊滅状態、ポスティング広告はそれなりに回復したが、単価が安い上に零細商店などは手作りで対応しているのでデザイナーに頼む余裕はないという。
「いまさらだけど、紙にこだわったら駄目ですね。でも紙のほうが好きなんです」