ライフ

事実上の一夫多妻が進行しつつある社会 実は女性に有利?

「一夫多妻」になると困るのは誰か

 本来、夫婦間の問題であるはずなのに、「不倫は許せない」と多くのひとびと(特に女性)が声高に非難するのは、現代社会が「一夫一妻」を前提に成り立っているからだろう。だが、新著『女と男 なぜわかりあえないのか』(文春新書)で男女の性愛のタブーに斬り込んだ作家の橘玲氏は、「実は“一夫多妻”こそ女性に有利なのではないか」と疑問を投げかける。その真意について橘氏が解説する。

 * * *
 伝統的社会のほとんどは「ゆるやかな一夫多妻」で、厳格な「一夫一妻」は近代以降の西欧社会で生まれたきわめて特殊な婚姻制度です。それ以前に一夫一妻のように見えたのは、貧しくて1人の妻しか養えなかっただけで、経済的な余裕ができると男はすぐに複数の“妻”を持つようになり、洋の東西を問わず権力者は巨大なハーレムをつくりました。

 子どもを産み育てる女にとってみれば、特定のパートナーがいつもいっしょにいてくれる「一夫一妻」が有利に思えますが、そう単純な話でもありません。

 10人ずつの男女がいて、男には「経済格差」があるとします。「一夫一妻」であれば、資産の多い少ないにかかわらず、すべての男が妻を獲得できます。

 では次に、同じ10人の男女を「一夫多妻」の自由恋愛でマッチングさせてみましょう。そうなると、もっとも大きな資源をもつ男が4人の女、その次が3人の女、といった具合に、上位の男が複数の女を独占していきます。その結果、下位6人の男は性愛を手に入れることができなくなってしまうのです。

 このことから、「一夫一妻」が資源のない(非モテの)男に有利な制度であることがわかります。女にとってはどうかというと、一夫一妻ではなんの資源もない男と結婚しなければならなかった女が、より大きな資源のある男を獲得できるのですから、一夫多妻は「全体的には」女にとって有利な制度ということになります。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン