芸能

三浦春馬さんの“ある言葉”に感じた生への危うさと脆さ

三浦春馬の“遺作”となった『Night Diver』のMVは7月27日までに830万回再生を超えた(Imaginechina=時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、7月18日、30才の若さで亡くなった俳優の三浦春馬さんについて。

 * * *
『ミュージックステーション 夏の3時間半SP』(テレビ朝日系)で7月24日、8月26日に発売される三浦春馬さんのセカンドシングル『Night Diver』のミュージックビデオ(MV)が放送された。30才で亡くなった三浦さんの最後のパフォーマンスだ。

 大量の雨を降らせたセットの中、ライトの明かりを背に受けながら、白いシャツに黒いズボンというシンプルな衣装で画面に現れた三浦さん。裸足の足先や指先にまで神経を行き届かせ、繊細に丁寧に、それでいてダイナミックにキレのあるダンスを披露した。揺れるシャツの裾、足先から上がる水しぶきや顔を伝っていく水滴さえ、彼の感情を表すように操られていく。その表情は切なくも美しく、見事なまでのパフォーマンスに心を掴まれ、突然の訃報がさらに悲しいものになっていった。

 本当ならこの日、三浦さんは生出演で同曲を披露する予定だった。三浦さんのスタッフが、「彼が最後に残した楽曲やパフォーマンスを記憶に残してほしい」と番組に相談し、放送されたという。YouTubeで公開されたMVは、既に再生回数830万回を超えた。

 仕事では役にのめり込むあまり、役から抜けるための時間が必要だったというほど真面目でストイック。あるインタビューでは、思ったことを抱え込んでしまう、溜めこんでしまうタイプと自らを評していた。人には優しく心を配り、誰からも好かれていたという。コロナ禍で中止になったものもあるが、仕事は順風満帆で予定が目白押しだった。だが、お酒の量が増えていたという報道や、友人や後輩の活躍に焦っていたのでは、と報じるメディアもあった。

 なぜ三浦さんはこんな結末を選んでしまったのか、自ら命を絶ってしまうほど何に追い詰められ悩んでいたのかは分からない。だが、悲報とともに流されたある映像での三浦さんの言葉が引っかかった。それは、彼の誕生日、4月5日に行われた初めてのインスタライブでのことだ。彼が今も元気でいれば何ら気にも留めない言葉。誰もがスルーし、その言葉を使った彼でさえ何気なく口から出ただろう言葉。

「皆さまのおかげで無事に30才を迎えました」

 三浦さんはそう言いながら、カメラに向って照れたようにはにかんだ笑顔を見せ、小さく自分に拍手した。これだけ聞けば何も問題はない。だが、“無事に”という言葉を誕生日に使ったことが、妙に気になったのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン