ライフ

「武漢ウイルス」名称から考える「川崎病」と「バルトリン」

評論家の呉智英氏

 どんなものにも、病気にも名前がある。新型コロナウイルスの呼称に関して、一時期は「武漢ウイルス」という呼ばれ方もあったが、そこには反発も見られた。評論家の呉智英氏が、医学的な発明・発見に付けられた名称について考察する。

 * * *
 コロナ第二波が来ているような気配である。対策は医学・疫学の専門家に任せるよりしかたがない。私にできることは、コロナ関連の社会現象を論じることだけだ。

 この疫病、またその病原体を何と呼ぶか。学術的にはCOVID-19(Novel Coronavirus disease 2019、新型コロナウイルス病二〇一九年)だが、日常語としては分かりにくい。通常、新型コロナ、さらに略してコロナ、あるいは発生地にちなんで武漢ウイルスである。

 このうち武漢ウイルスは不名誉な名称だとして支那政府は反撥している。しかし、四月三日付産経新聞は支那の環球時報でさえ武漢ウイルスと表記していたと指摘している。私は字数も少なくて便利なのでコロナとするが、発生地を明示する意味で武漢ウイルスも否定することはないと思う。

 そもそも、病気など負の事例に地名を使うことは珍しいことではない。水俣病、四日市喘息など公害病には地名がつく例がある。ヒロシマ、ナガサキは、人類史的悲劇を世界中が記憶するため、被爆を象徴する言葉となっている。

 とはいえ、無用の混乱を生じる名称もある。

 現在コロナの治療法について模索が続けられている。その一つに、コロナに川崎病と類似の症状が見られるという報告がある(七月三日付朝日新聞)。ただし川崎病には伝染性はなく症状が類似するだけだが、治療法の併行開発も可能になるかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン