国内

夜間中学が抱える問題、前川氏と「セーラー服の歌人」の見解

「セーラー服の歌人」と呼ばれる鳥居さん

 さまざまな理由から中学校に通えなかった人を受け入れて授業を行う「夜間中学」。生徒たちの国籍や年齢層は、幅広い。外国人もいれば、高齢者もいる。

 そんな夜間中学は、不登校などで実質的には教育を受けていないものの、中学の卒業証書を授与された「形式卒業者」の入学が認められていなかった。歌集『キリンの子』で注目され、「セーラー服の歌人」と呼ばれる鳥居さんも形式卒業の壁に苦しんだひとり。幼い頃に両親が離婚し、引き取った母も死去して養護施設で育った鳥居さんは、いじめや虐待を受けて小学校の途中から不登校になった。

 すべての人に教育の権利が認められるよう、鳥居さんや支援者が活動した結果、2015年に文科省は形式卒業者に夜間中学の入学を認める通達を出した。

 一方で別の課題も生じている。形式卒業者を拒むうちに外国人の生徒が増え、鳥居さんのような学び直しを求める生徒と現実の授業に乖離が生じるようになったのだ。鳥居さんはこう語る。

「私の通っている夜間中学では小1の勉強をしたい人、中3の勉強をしたい人、日常的な日本語を教えてほしいという人が同じ教室にいる訳です。クラス分けも勉強の程度で振り分けるのではなく、日本語がしゃべれるかどうかで分ける感じで、私のクラスでは『寿司』や『柔道』の発音の練習があって戸惑いました。

 私の将来の夢は、教員免許を取って勉強の楽しさを生徒に伝える先生になることです。いまの中学校では高校や大学入試に必要な授業は受けられません。しかし身寄りのない私にとって塾や家庭教師は高額で困っています。外国籍の生徒や、先生たちのやり方を否定したいのではないのですが、制度の方に問題があると思っています。私は日本語を学びに行ったのではないため、夜間中学は休学することにしました」(鳥居さん)

 元文部科学事務次官の前川喜平さんも同様の課題を指摘する。

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン