芸能

レベル高い韓国映画界 スタッフ若く予算は潤沢、そして情熱

映画『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督(右)と俳優のソン・ガンホ(写真/GettyImages)

 世界を席巻する韓流エンタメ。今年2月には『パラサイト 半地下の家族』が第92回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門を受賞。BTSやTWICEといったK-POPグループは世界的な人気となり、オーディション番組『Nizi Project』から生まれた日本出身の9人によるK-POPガールズグループ「NiziU」もブレイク中だ。

 韓流が支持されるのは、そのコンテンツのクオリティーの高さゆえだ。そして、韓国人がエンターテインメントに真摯に向き合うようになった背景には、1997年の通貨危機がある。当時、金泳三大統領は、国家経済が破綻する危機に直面し国際通貨基金(IMF)に緊急融資を申請したが、多くの企業が倒産する結果となり、国中の人々が貧困に陥った。韓国ドラマに詳しい作家の康熙奉(カンヒボン)さんが説明する。

「韓国は1988年にソウルオリンピックを経験し、1989年に海外旅行が自由化されました。狭い国に住んでいる韓国人は積極的に海外へ行き、学んでみようと考える人が多かった。音楽や映画など芸術的なことを海外で学ぶ人も多く、韓国エンタメ界にその好影響が出てきたのが1995年くらい。金融危機の直後に就任した金大中元大統領は、この小さな自国が生き延びていくため、エンタメ産業に力を入れる方向へと舵を切りました」(康さん)

 金氏は選挙の公約として国費を注いで韓国映画を「世界規模のエンタメ」にすることを掲げた。そして映画業界の支援を受けて当選。韓国映画振興委員会に年間約150億円もの助成をし、学校を創立して人材育成にも力を入れた。ヨン様ブームの時代から韓流を追いかけ続ける「韓国ウオッチャー」の児玉愛子さんはこう話す。

「金元大統領のスローガンは、“1台の車を売るより1本の映画を売ろう”。韓国映画を『国策』にしたんです。アメリカのハリウッドで仕事をしていた韓国人スタッフを呼び戻し、映画製作に取り組ませたそうです」

あわせて読みたい

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン