そういうミスマッチを解消するために、SNSなどに「落選候補交換所」を開設し、落としたい議員の選挙区の落選運動参加者と投票を交換する方法がある。「ボート・スワッピング(投票交換)」と呼ばれる。三上氏が想定するのはこんなやり方だ。
「たとえばツイッターで票の交換を持ちかけるツイートをする際、最後に『#落選運動』と『#ボート・スワッピング』と入れる。『#』を入れるとその話題に興味のある人が集まってくる仕組みになっています。ただし投票の自由があるため、あくまで口約束で投票の強制はできません」
図は、太郎、次郎、花子の3人が互いに投票行動を交換し、それぞれが落選させたい議員をかわりに落選させる「三角トレード」のやり方だ。交換所はネットやSNSに何か所できてもいいし、参加者が増えるほど、多くの選挙区で議員を落選させるチャンスが増える。
ただし、落選運動にもいくつか注意点がある。まず特定候補への事実無根の誹謗中傷はやってはいけない(刑法違反)。「〇〇候補を落選させるために、××候補に投票しよう」と特定議員への投票を呼びかけるのは選挙運動と見なされ、公選法の対象になる。SNSでの運動は自由度が高いが、メールやHP、ブログを利用する場合、選挙期間中(公示から投票日まで)は公選法のネット選挙運動のルールが適用されることになる。
※週刊ポスト2020年8月28日号