国内

小池都知事肝いり「安心の虹のステッカー」は信用できるのか

「感染防止徹底宣言ステッカー」について会見する小池百合子都知事(時事通信フォト)

「感染防止徹底宣言ステッカー」について会見する小池百合子都知事(時事通信フォト)

 東京都がすすめる、用紙の上半分に七色の虹がデザインされた「感染防止徹底宣言ステッカー」。小池百合子東京都知事が会見で「100万枚を目指していきたい」「東京中を、安心の虹のステッカーで埋め尽くす」と述べていたように、普及は順調で、ほとんどの飲食店などの各種店舗、映画館や劇場などの入口に掲示されるようになった。このステッカーにはそれほどの威力があるのか。ライターの森鷹久氏が、声を潜めて虹のステッカーだけで簡単に信用してはならないとつぶやく飲食店で働く人たちの声を届ける。

 * * *
 真っ昼間から大勢の客で賑わう東京都目黒区内の飲食店。まだ陽も高いのに、アルコールで顔を真っ赤にしている客も目立つ。なぜ昼酒ができるのかと事情を聞けば「コロナで暇だから」とのこと。そんな大盛況の店内に、虹のモチーフが施された紙が一枚、ヒラヒラとはためいている。

「感染対策ステッカー? ああ……経営者が持ってきたから貼ってあるだけで、よくわかりません」

 店の従業員が興味もなさそうに答えてくれたこの紙、東京都が新型コロナウイルス感染防止対策として、事業者に掲示を呼びかけている「感染防止徹底宣言ステッカー」なるものである。感染防止対策に取り組んでいるということを示す手段として東京都が使用を呼びかけている「ステッカー」なのだが、効果のほどはどうなのか。大手紙都政担当記者はいう。

「国との対立を鮮明化させている小池都知事肝いりの『都独自』の政策で、事業者は都のHPにある『感染拡大防止チェックシート』に記入し、このステッカーをダウンロードし印刷、店に掲示できるという仕組み。ステッカーがある店は対策をとっているから安全、ということをアピールするためのものですが、正直、感染防止対策を行なっていない店でも簡単に取得ができるため、本当に意味があるのかと疑問視されていました」(大手紙都政担当記者)

 間も無く、ステッカーを掲示していた東京都江戸川区のフィリピンパブにおいて、新型コロナウイルス感染者のクラスターが発生した。区役所によれば、該当店舗はきちんと対策をとっていたと確認していたそうだが、マスコミも世間も「ステッカーに意味はあるのか」と騒ぎ出す始末である。「チェックシート」に倣い、感染防止対策を行いつつステッカーを張り出している東京都港区の居酒屋店店主・中間義和さん(仮名・50代)がため息交じりに話す。

「対策チェックといっても手洗いやマスク着用の徹底、密を避け、ソーシャルディスタンスを取り、清掃消毒、利用者や従業員の体調管理を行いましょうという、ごく一般的なもの。大皿料理を避ける、回し飲みを避ける、相席を避ける、などといった飲食店に特化した対策もあります。最初は『お、対策されてんじゃん』なんて言いながら店にやってくるお客さんもいましたが…」(中間さん)

 中間さんの店では、従業員は全員マスクとフェイスシールドを着用の上、レジ係はゴム手袋をはめ、客席には一人ずつ独立したアクリル製の衝立を設置。空気清浄機も導入し、とにかくやれる限りのことは全てやったと胸を張る。しかし……。

「他店はどうかと見て回ると、なんら対策もしていない店が堂々とステッカーを張り出していました。ステッカーを張り出していたとある店では、おしぼりを要求したところ『ない』と。消毒液はあるか聞くとそれも『ない』と。感染防止対策をしているのかと聞くと、商売の邪魔だと追い出されそうになったんです」(中間さん)

関連記事

トピックス

中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
スカイツリーが見える猿江恩賜公園は1932年開園。花見の名所として知られ、犬の散歩やウォーキングに訪れる周辺住民も多い(写真提供/イメージマート)
《中国の一部では夏の味覚の高級食材》夜の公園で遭遇したセミの幼虫を大量採取する人たち 条例違反だと伝えると「日本語わからない」「ここは公園、みんなの物」
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
『国宝』に出演する横浜流星(左)と吉沢亮
大ヒット映画『国宝』、劇中の濃密な描写は実在する? 隠し子、名跡継承、借金…もっと面白く楽しむための歌舞伎“元ネタ”事件簿
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン