現職大臣の落選は政権にとって大打撃になる。現在の政策そのものにNOを突きつける、最もわかりやすい国民の意思表明となるからだ。落選運動で安倍内閣の大臣、副大臣が次々に選挙区で敗北する事態になれば、安倍首相を退陣に追い込むことが可能だ。
とはいえ、安倍首相や麻生太郎・副総理のように選挙になると対立候補たちに圧倒的な票差をつけて当選する議員を落選させるのは容易ではない。
そこで、現内閣の大臣、副大臣(辞任した河井克行氏、菅原一秀氏を含む)のうち、前回総選挙の本人と対立候補の合計得票の票差が小さく、「落選させやすい」18人をリストアップした(表参照)。
落選させやすい大臣の1位は首相の腹心、萩生田光一・文科相。前回は候補乱立で野党の票が割れ、次点に6万票以上の差をつけて当選した。しかし、実は立憲民主、国民民主(旧希望の党)が候補者を1本化し、共産党が候補者擁立を見送って与野党の一騎打ちとなれば得票数で逆転されていた。次回の総選挙に野党が統一候補を立てれば一挙に劣勢に立たされる可能性が高い。5位の公明党の赤羽一嘉・国交相までは野党候補の得票差1万票未満で、コロナの逆風で苦戦が予想される。
また、副大臣は自見英子・厚労省政務官との“白亜の不倫”疑惑が報じられた橋本岳・厚労副大臣までの11人すべてが苦戦する票差。「落選運動」が高まれば、大臣・前大臣7人、副大臣11人が小選挙区で敗北もありうる。そうなれば安倍政権は壊滅状態だ。
総選挙の選挙運動は公示日から投票まで最短12日間の短期決戦だが、「落選運動」はいつからでも始めることができる。