ライフ

壇蜜が明治天皇使用の御鉛筆に感激「こんなに短くなるまで…」

明治天皇がお使いになられた鉛筆にビックリ(撮影/太田真三)

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜という、日本美術応援団の2人が、日本の美術館の常設展を巡るシリーズ。今回2人が訪れたのは、明治神宮ミュージアムだ。

山下:昨年開館した明治神宮ミュージアムは現在修理中の重要文化財・明治神宮宝物殿に収蔵されていた御祭神ゆかりの品を後世へ継承すべく、明治天皇の愛用品などを常設で展示しています。この2本は陛下が使用された『御鉛筆』です。

壇蜜:こんなに短くなるまで削って使われていたなんて。倹約の精神とものを大切にされていたことが伝わります。製造国は不明だそうですが、アルファベットが刻まれていて外国からの献上品かもしれませんね。

山下:その可能性もありますね。明治天皇は当代の美術工芸品をとても奨励されていて、超絶技巧の作品を個人的に収集したり、外国へのお土産にしたりしていました。東京彫工会主催の競技会で買い付けた『銅製 二宮金次郎像御置物』もそのひとつです。作者の岡崎雪聲は皇居前広場の楠木正成像など大作を数々手掛けた優れた鋳造の作家です。

壇蜜:明治天皇がお買い上げになられることで価値も上がりますね。山下先生が以前に監修された明治工芸の超絶技巧展にも、陛下から下賜された工芸品がいくつも出展されていました。

山下:明治天皇が美術に果たした役割はとても大きいのです。日本美術では明治という時代の見直しが近年急速に進んでいます。明治生まれが少なくなりつつある今、広い意味で明治を見直す時なのではないでしょうか。僕も埋もれている明治の素晴らしい作家をまだまだ発掘していきます。

◇明治神宮ミュージアム
【開館時間】10時~16時30分(最終入館16時)【休館日】木曜(祝日の場合は開館/展示替え期間は休館)【入館料】一般1000円【住所】東京都渋谷区代々木神園町1-1

【PROFILE】
◆やました・ゆうじ/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団長。
◆だん・みつ/1980年生まれ。タレント。グラビア、執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『結婚してみることにした。壇蜜ダイアリー2』(文藝春秋刊)。

●撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2020年8月28日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
9年の濃厚な女優人生を駆け抜けた夏目雅子さん(撮影/田川清美)
《没後40年・夏目雅子さんを偲ぶ》永遠の「原石」として記憶に刻まれた女優 『瀬戸内少年野球団』での天真爛漫さは「技巧では決して表現できない境地」
週刊ポスト
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン