スポーツ

【アメリカ発】野球は知的な人たちのスポーツなのである

投打の駆け引きこそ野球の醍醐味(時事)

 おそらく、日本人とアメリカ人は野球好きの双璧だろう(台湾もそうかもしれない)。しかし最近のアメリカでは、アメリカンフットボールやバスケットボールに比べて「退屈だ」という批判を受けることも増え、これは他の競技と同じだが、選手の政治的言動が物議を醸したりして、人気にはやや陰りが見える。普段は政治問題、社会問題に健筆を奮うジャーナリストRichard Jack Rail氏が、大ファンである野球への熱い思いを綴った。

 * * *
 友人のコラムニストGlenn Beaton氏が、自分のコラムでプロスポーツ観戦をやめるよう人々に呼びかけたのは、選手たちがプレーより政治を優先しているように見えることに怒ったからだ。それには異論はないのだが、野球に関して彼が「退屈なスポーツだ」と切って捨てたことは看過できない。

 私の考えでは、もしあなたが野球を好きになれないというなら、ゲームが悪いのではなく、むしろあなたの中に問題がある。確かに、激しいアクションを好む人には野球は向いていないかもしれない。しかし、フィジカルな戦いと同じくらい、あるいはそれ以上にメンタルな戦いでしのぎを削る競技を好む人にとっては、野球は最高のスポーツなのだ。

 展開が緩慢だということは、ある面では他のスポーツよりも知的な戦いであることを意味する。そこにはピッチャーとバッターの駆け引きがあるからだ。左腕として歴代最多勝利(363勝)を誇る往年の名投手ウォーレン・スパーンは、「打撃とはタイミングだ。そして投球とはタイミングを外すことだ」と語った。今日のカメラでは、昔のファンが見ることのできなかった投打の駆け引きをはっきり捉えることができる。スピードの変化、きわどいコースをつく重要性、熟練したキャッチャーのサポート、そして、ストライクゾーンを正確に理解し、高速で動く投球をしっかり見極める審判の役割など。

 野球はまた、おそらくテニス以外のどの主要スポーツよりも個の戦いだ。プレーはピッチャーが一人でボールを投げるところから始まる。バッターは一人でボールを打つ。野手は一人で守る。この競技でエラーは重大な問題になる。一つのプレーには一人しか関わることができず、そのプレーが連続してゲームを構成し、同時に大観衆の歓声を呼び起こす。すべてのプレーははっきりと衆目に晒される。うまくやったか、ヘマしたか。

関連記事

トピックス

ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
鳥取の美少女として注目され、高校時代にグラビアデビューを果たした白濱美兎
【名づけ親は地元新聞社】「全鳥取県民の妹」と呼ばれるグラドル白濱美兎 あふれ出る地元愛と東京で気づいた「県民性の違い」
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
『ルポ失踪 逃げた人間はどのような人生を送っているのか?』(星海社新書)を9月に上梓したルポライターの松本祐貴氏
『ルポ失踪』著者が明かす「失踪」に魅力を感じた理由 取材を通じて「人生をやり直そうとするエネルギーのすごさに驚かされた」と語る 辛い時は「逃げることも選択肢」と説く
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《巨人の魅力はなんですか?》争奪戦の前田健太にファンが直球質問、ザワつくイベント会場で明かしていた本音「給料面とか、食堂の食べ物がいいとか…」
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン