ビジネス

リサイクルショップに買取希望客が行列中 ブランド品離れも

家にある使わなくなったものをリサイクルショップへ持ち込む人が増えている

家にある使わなくなったものをリサイクルショップへ持ち込む人が増えている

 年末の大掃除シーズンになると利用が増え、そのやりとりの様子が夕方のニュース番組などでしばしば特集されるリサイクルショップだが、今年は春から買取希望客で賑わっている。例年と異なる買取希望の殺到に戸惑うリサイクルショップ側の本音について、ライターの森鷹久氏がリポートする。

 * * *
 コロナ禍でリサイクルショップに客が殺到──テレビのワイドショーなどで、最近よく見る「見出し」である。コロナ禍で外出が減り断捨離をする人が増えた、という理由でリサイクルショップを訪れる客が多い、など「確かにな」という説明がなされる。まるで賢い庶民の錬金術のような雰囲気で報じられているが、「売り手が多い」と買値は下がるため「より多くを安く仕入れられる」という業者側からの視点に立った解説がなされることはないのは「暗黙の了解」なのか。

 予想外の買取額を業者から提示された客が、ホクホク顔で現金を受け取って帰る、というところまで放送されると、お茶の間では「おい母さん、いらないバッグとか指輪、なかったかな?」なんて声が聞こえてきそうでもある。都内の中古ブランド品ショップで働く森本容子さん(40代)は、コロナ禍で確かに客は増えた、と次のように説明する。

「私たちの商売は、世の中が不景気な時ほど安く買い、景気が上向いた時に高値で売り抜ける、というもの。最近、売りに来られるお客様については実際、断捨離という理由より、生活に困ってという人の利用が一番多いのが現実。コロナ以前と今では、買取価格は下がっているにも関わらず買取が減らないのは、景気が悪い状態が続いている証拠」(森本さん)

 しかし、増え続ける在庫を見つめ、森本さんは懸念も示す。

「安く在庫が仕入れられるのは良いことですが、このまま吐き出す機会が来るのか、景気が上向きになるのはいつか、ということです。このまま景気がもっと悪くなれば在庫品は売れず、不良在庫になる。例えばコロナ禍になって、新幹線の回数券を大量に売りに来るお客さんがいましたが、買取を拒否しました。普段なら黙っていても売れるのですが、新幹線に乗る人がほとんどおらず、全く売れない。在庫の回数券だって、かなり格安の値段でも売れなかったんです」(森本さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン