味が移らないように調理された白子の汁

 翌朝に使うのであれば、夕食のお片付けが終わった後、布巾で汚れを軽く落とした昆布、お水、そしておちょこ一杯の日本酒をお鍋に入れて放っておくだけ。ゆっくりお風呂に入ってさっさと寝てしまいましょう(笑い)。ちなみにばぁばは、保存用ポットに仕込み、一年を通して冷蔵庫に常備しています。だしを取った後の昆布は、佃煮になさるとよいですよ。

 一夜明けて昆布が3倍ほどにふくらみ、旨みたっぷりのおだしができましたら、ばぁばからの提案です。

 外食もちょっと躊躇する昨今、今宵ははまぐりや鯛、あわび、あるいはもう少し寒くなりましたら白子などを使った極上のお吸い物で、“プチおうち料亭”はいかがでしょう? 鯛もあわびも、お椀ならほんの少しあれば充分ですから、お財布もそんなに痛まないはずです。

 不安が先立ついま、節約に努めるのは大事なことです。でもたまには、心がパッと晴れるような美しい一品を。明日の心の糧にもなりますよ。

 それではまた。ごきげんよう。

『昆布の水だしで白子椀』の作り方(4人分)

【1】しいたけ4枚は軸を除き、かたく絞った布巾でかさで汚れを拭く。鍋に水を沸騰させてしいたけを2分ほどゆで、ざるに上げる。熱湯はそのまま取っておく。

【2】白子250gはボウルに入れて流水でそっともみ洗いをし、ひと口大に切り分ける。【1】の鍋にさっとくぐらせてざるに上げ、氷水で締めて水気を切る。

【3】塩蔵わかめ10gはぬるま湯でさっと洗い、水につけてもどす。流水で洗って水気を切り、硬い部分を切り落として食べやすい大きさに切っておく。

【4】「白髪ねぎ」を作る。ねぎ1/2本は5cm長さに切って、縦に包丁目を入れて芯を除く。ガーゼか布巾に包んで流水の下で軽くもみ洗いをし、かたく絞る。まな板にポンと打ちつけてから開くと、きれいにほどける。

【5】鍋に昆布の水だし4カップ、塩小さじ1、薄口しょうゆ大さじ1を煮立てる。お椀に白子、しいたけ、わかめを均等に盛り、あつあつのだしを張る。白髪ねぎと松葉形に切ったゆずの皮1~2本をあしらう。

【プロフィール】すずき・ときこ/現役最高齢、95才の日本料理研究家。鈴木登紀子料理教室主宰。『きょうの料理』(NHK Eテレ)への出演は約50年を数える。『ばぁば 92年目の隠し味』ほか著書多数。女性のための暮らし応援サイト「kufura」にて、ばぁばの料理動画を絶賛公開中!

■撮影/近藤篤

※女性セブン2020年10月8日号

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