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95才の現役料理研究家ばぁば 最後に伝授する「お吸い物」

「泣いても一生、ふてくされても一生、笑っても一生。誰もがいつかはこの世を去らねばならないの。同じ一生なら、よく食べ、よく笑い、よく眠って、嫌なことは昨日に置き去りにすることが賢明よ」というばぁば

 NHK Eテレ『きょうの料理』への出演でもおなじみの現役最高齢95才の日本料理研究家“ばぁば”こと鈴木登紀子さんが、後世に残したい一品とは? 女性セブンでの連載も今回で最終回。最後にばぁばが教えてくれるのは、白子を作った絶品のお吸い物の作り方です。

 * * *
 今年の夏は本当に酷暑でございました。長梅雨での水害、そして連日40℃超えという天変地異。コロナも恐ろしいですが、暑さが苦手なばぁばは自宅におこもりして、クーラーの効いた涼しいお部屋で、秋風が吹きはじめるのを待っておりました。

 現在、“密”や感染の危険を避けるために、お仕事も休業中です。お仕事をしていらっしゃる皆さまの中にも、ご自身やご主人が在宅勤務をなさっているかたも多いかと存じます。

 緊急事態宣言から約半年、そろそろ家族で夕餉を囲むのが当たり前になってきたのではないかしら? 毎日の献立に頭が痛い……という人も多いと聞きます。

 でもね、それは生活の“知恵”がどんどん身についている証拠でもあるの。たとえ、いまは悩ましくても、料理本を片手に苦心なさっていても、ご家族の健康状態や好みを思いながら毎日お台所に立っているうちに、自分なりの素材の組み合わせや味つけ、盛りつけが工夫できるようになり、貴女だけのお料理が生まれていきますから。

 最終回に際し、いつか……と取っておいた、昆布の水だしで作る極上のお吸い物で了としたいと思います。

 昆布の水だしは、ばぁばの母・お千代さんが好んで使ったもので、昆布のほかにも煮干し(焼き干し)、干ししいたけなどを、それぞれ水に浸して一晩寝かせるだけというもの。

「夜のうちに、時間がやっておいてくれるのよ」とお千代さんは言っていましたが、なるほど、水だしなら失敗がありませんし、乾物になった昆布や煮干しが水の中に帰り、ゆっくりとほぐれてじわじわと旨みを開放していくのですから、格段においしいのです。

 ちょっと値は張りますが、上等の昆布をお使いになりますと、それはもう上品な、透き通っておいしいお吸い物ができます。

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