市民の7割以上が購入できない「代物」
この騒動、いくつかの問題点が浮き彫りになった。
市の商品券発行計画そのものは、コロナ禍で打撃を受けている市内の経済を活性化するという目的からして評価されて然るべきものだろう。都内最高のプレミアム率も、本来なら市民や商工関係者から歓迎されるはずの内容だ。それが、一転して抗議が殺到という事態になってしまった。
最大の問題は公平性の担保だ。総発行額は15億円。三鷹市民は約19万人。購入上限額は1人3万円。単純計算だと市民5万人が最大3万円の枠を利用すれば、売り切れとなってしまう。残りの14万人、総人口の7割以上の市民は購入できないわけだ。市の税金(補正予算約6億5300万円)を投入する事業で、これほどの不公平が生じてしまえば、市民から不満、批判が出るのは当然だろう。
発売方法にも問題がある。紙商品券の先着順の窓口販売というシステムは、最初から行列、混雑が想定できる販売方法だ。
しかも発売初日は木曜日。「平日の朝7時半から整理券を配布」というスタイルに対応できる市民は限られてくる(それでも長蛇の列ができたが)。会社勤めのサラリーマン、OL、育児中の親、歩行が不自由な人などは最初から諦めざるを得ない。行列を横目で見ながら通勤という市民も多かったのではないだろうか。ここでも大きな不公平が生じてしまう。
そして、販売途中で先着順から抽選順に変更した点も混乱に拍車をかけた。抽選場所が1か所となったため、9000人超が並ぶという異常事態を招いてしまった。