Go Toでも露呈した事業者主眼の支援策
10月1日から始まった政府の「Go To イート」では、ポイント目的の少額利用者が相次いだことから、開始1週間で少額飲食をポイント付与の対象から外すといった制度見直しに迫られた。
一方、「Go To トラベル」では宿泊割引の上限額を1万4000円から3500円に引き下げるなどの動きが出ていた。この制度では旅行代金の35%の割引が受けられることになっていたが、東京発着の利用が追加されて以降、予約が急増。予算枠の上限が迫った大手旅行会社などが割引の上限額を引き下げていたという。これも早い段階でこの制度を利用した人と、後から予約した人では大きな不公平が出る。
これに対し、赤羽国土交通大臣は、事態発覚直後の10月13日、急きょ追加の予算を配分する考えを明らかにした。「引き下げられた割引率で予約したケースも含めて、すべての利用者が35%割引の支援を受けられるよう万全の対応を終えた」(赤羽国交相)
いずれもコロナ禍の経済政策としての主眼を事業者に置いたため、国民の間に得する人とそうでない人が生まれてしまう結果となったわけだ。経済状況の悪化に苦しんでいるのは事業者だけではない。旅行どころか、収入が減って生活を切り詰めている国民も多い。事業者向けの経済対策だけでなく、消費税税率引き下げなどを含めた全国民を対象とした生活支援策が必要だろう。